「コーヒーのレギュラーを1つ」
と喫茶店のPRONTOで、僕はオーダーした。
平日の朝9時前の店内、客はまばらだ。
今日は2度目の面接、リアルで会うのは初めてなので、さすがの僕も少し緊張していた。
カウンターでコーヒーを受け取り、席について愛用のMacBookを開いた。
そう、日系企業とは異なり、プレゼンがあるため、直前のイメトレをするためだ。
想定質問とエピソードを頭の中で何度もなぞる。
当然、声を出しての練習はできない。
気がつけば、時間は9時半。
面接まであと30分だった。
僕は目を瞑った。
やるべき準備は、すべてやってきた。
あとは本番で結果を出すのみだ。
51歳の転職者にしては、やりすぎかもしれない。
しかし、妥協したくはなかった。
「よし、そろそろ出発しよう。」
事務所までは、200メートルくらいの距離だった。
朝10時前だが、フレックスの通勤者が結構あるいていた。
「ここか」
すこし早めに出たので、まだ15分ほど時間がある。
ビルの1階のトイレに立ち寄り、鏡を見て髪型と服装をチェックした。
久々の新卒の就職活動の感覚だ。
エレベーターに乗り、先方の事務所に到着した。
シンプルなエントランスに、ロゴが掲げてある。外資系らしくとてもスタイリッシュなデザインだ。
僕はすこし緊張しながら、受付の受話器を持ち、採用面接で伺った旨を話した。
しばらくすると、若い男性がガラスのドアをあけて出てきて、4人掛けの部屋に通された。
「ここでプレゼンをするのだろうか?」
もっと広い会議室で、何人かの面接官相手にプロジェクターを使ってプレゼンをするイメージだった。
まだどうなるのかわからない。
3分くらい経っただろうか?
部屋のガラスのドアの先に、人影を感じた。
「いよいよか?」
人影は、僕の座っている部屋のドアの目の前で止まり、ドアが開いた。


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