「思ったより、ちゃんとした住宅地だな・・・」
物件の内見を終えて、周辺の環境を見るために、家の周りを散歩することにした。
すでに夕方になり、あたりは薄暗くなってきていた。
このあたりは、住宅地として区画整理されていて、住宅が立ち並んでいる。
ただし、空き地もちらほらとあり、完全に埋まっているような感じでもない。
ただ、その空き地にも所有者が書かれている小さなプレートが設置されていた。
「所有者がいるのに、どうして家が立ってないのだろう?」
そして、たまに空き家と思われる家もあったりした。
「やはり、人口が少ないやばいエリアなのだろうか?」
指値をした後で、だんだんとマイナス面が目についてくる。
ただ、悪い部分だけではない。
この物件の20m先では新築の工事をしていた。
しかも2軒も連続で建築中だ。
「新築の家が立つということは、まだまだいけるのか?」
周辺を見れば見るほど、迷いが生じてくる。
となりの区画の様子も見に行ってみると、同じように1軒だけ空き家らしきものがあるものの、まだ比較的新しい家もあったりした。
ぐるっとひと回りして、物件の近くまで歩いてきたら、先程の不動産屋の営業マンが、ちょうど車で帰るところだった。
「あっ!どうも、駅まで乗っていきます?」
営業マンが声をかけてくれた。
大網駅までのバスは、本数がそれほど多くない。
「お願いできますか?ありがとうございます。」
といって、営業車のセレナの後部座席に乗せてもらった。
夕方ということもあり、駅までは道路が少し混んでいたが、それでも15分くらいだった。
車内では、営業マンとプライベートな会話もできた。
・営業マンの出身地
・僕の妻の妹夫婦が同じ大網白里市に住んでいること
・妻の実家に行くときに、このあたりも通っていたこと
・僕の出身地のこと
・営業マンの会社のこと
などなど、ほとんど物件とは関係のない他愛のない話ばかりだった。
しかし、わずか15分の会話でも打ち解けることができてよかった。
「この営業マン、悪い人ではない」
そう確信して、信用できそうだと思った。
僕は大網駅のロータリーで下ろしてもらい、駅のホームへと歩いていった。
夕方ということもあり、大網駅の上り線のホームには千葉方面に向かう人が結構いた。
田舎とはいえ、東金方面からも合流してくるし、茂原駅からも人が乗ってくる駅だ。
そう考えると、駅からそれほど遠いわけでもないし、いい場所かもしれないと思えてきた。
自宅までの電車の中でも、マイソクを眺めながらいろいろなことを考えていた。
そして、やはり最終的には、
「最悪自分で住んでもいいかもしれない」
という結論に至った。
今ではそんな安直な基準で決断をすることはないのだが、最初の1軒目の購入ということもあって、かなり慎重になっていたのは間違いない。
千葉駅で電車を乗り換えて、無事に自宅に到着した。
自宅に到着すると、妻が夕飯の支度をしている。
「ただいま、なかなかいい家だったよ」
と、結果を妻に報告した。
「あ、そう。」
妻は忙しく料理をしているせいもあり、不動産には興味がまったくない様子だ。
この調子なら、買うと言っても大丈夫そうだ。ましてや、過去にも何度も内見をしていたので、免疫がついているはずだ。
「あのさ、買おうと思って買付入れてきた」
僕が話すと・・・
「えっ?本当に買うの?大丈夫なの?」
意外と反応があって驚いてしまった。
夕食を終え、僕は、撮影してきた写真と動画、そしてマイソクを妻に見せた。
「とりあえず、380万円で指値をしてきた。結果はわからない」
とだけ伝えた。
「まだ買えるかわからないからさ」
そういって、その日の妻との会話は終わった。
一般的には、妻が猛反対するっていう話も聞いていたが、僕の妻はそれほど反発しなくて安心したのだった。


コメント