築古戸建て購入の記録(大網1号物件) 第9話

大網白里市1号物件

「売主さんから連絡ありましたよ。380万円でOKだそうです!」

と、不動産会社の営業マンから電話で告げられた。

「ありがとうございます!」

僕は明るい声で営業マンにお礼を伝えた。

しかし、電話を切ったあとで、僕は内心不安な気持ちが襲ってきた。

「これからどうしよう」

「妻はなんというだろうか」

「子供の学費は本当にたりるだろうか」

買うことが現実になると、喜びもあるが、不安も湧いて出てくるものだ。

「女性のマリッジブルーは、こんな気持ちなのかもしれない」

そう思った。

女性からしたら、男性は数あるうちの物件の1つだ。

その1つが決まったら、ほんとうにこの人でよかったのか考えるのだろう。

人間というのは不思議な生き物だ。

願いが叶ったのに不安になる。

とはいえ、もう後戻りはできない。

その日、会社から帰り、夕食を食べながら、僕は妻に切り出した

「あの大網の家、指値が通って買うことになったよ。契約するときは一緒についてきてほしい。」

すると妻は

「そうなんだ。がんばってね。」

あまりの反応のなさに、ホッとしたのと同時に、もう少しなんかあってもよくない?っと思ったりもした。

でも、猛反対されるより100倍マシだ。

2、3日すると、また不動産会社から連絡がきて、2週間後に契約日が決まった。

そこから契約日までは、仕事中以外は、この物件のことをいろいろと考えた。

・お金の準備をしないとな

・リフォームどうしよう

・想定した利回りで完成するかな

などなど、考えれば考えるほど、やることがでてくる。

今思えば、この限られた時間でどうすべきかを悩んだことが、とてもプラスになったと思う。

実際に不動産賃貸業をしたことがある人と、勉強だけしたことがある人との決定的な違いが、こういった自分ごととして時間内に進めた経験があるかという点だと思う。

契約日までのあいだ、僕は過去に読んだ不動産投資の書籍を見直したり、過去に見たYou Tubeの動画を見直したりした。

すると、不思議なことに、前に見たときに見落としていた内容がかなりあることに気がついた。

自分ごとになったからだ。

いままでは、購入するところまでのアンテナしか立っていなかったものが、今は購入後どうするかというアンテナが、僕の頭に立っている。

その違いだけで、同じものを見たり読んだりしたときの見えているポイントが違うのだ。

そうこうしているうちに、契約日の土曜日になった。

実は、僕が不動産を購入するのは2回目だ。

1回目は、今の家を購入するときだった。

もう、かれこれ15年以上前のことなので、あまり記憶にはない。

とにかく、次から次へと書類を出されて、印鑑を押印しまくった記憶しかない。

自宅は住宅ローンで購入したから、半分くらいは銀行向けの資料だったに違いない。

あまり、今回の契約には役に立たない経験だ。

朝9時前に妻と2人で自宅を出発した。

かなり余裕を見て家を出たので、高速を使わずに、のんびり下道で行くことにした。

途中、妻と出会った頃に僕が1人暮らししていたアパートの前を通った。

当時、家賃35,000円の家賃で住んでいた。

それと別に、となりの空き地の駐車場を5,000円で借りていた。

「もう20年も前か〜」

僕は車のハンドルを握りしめながら妻に言った。

「懐かしいね〜」

妻か答えた。

その頃は、このアパートも築10年も経ってなかったと思うが、外壁の塗装をしてないようで、ボロボロに見えた。

駐車場を借りていた隣の空き地は、新しい家が建っていた。

はじめて賃貸用の物件購入の契約へ向かう途中に、偶然、昔一人暮らしをしていたアパートの前を通るとは思ってもなかった。

何か、無意識がそうさせたに違いない。

なにかの運命を感じずにはいられない。

そんなことを考えながら、無事に不動産会社の事務所に到着した。

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