築古戸建て購入の記録(大網1号物件) 第10話

大網白里市1号物件

「ついに契約のときが来た」

不動産会社に妻と一緒に入ると、担当の営業マンが出てきてくれた。

不動産会社は2階建てのビルで、中に入って2階がオフィスと商談スペースになっていた。

営業マンに案内されて、6人がけの商談スペースに通された。

この日は売主も来るはずだが、まだ到着してないようだ。

「こちらどうぞ」

女性の従業員の方が、BOSSの500mlのペットボトルを差し出してくれた。

まだ時間に余裕があったので、僕と妻はペットボトルのキャップを開け、一口飲んだ。

「あれ、これ美味しいね」

2人共緊張しているせいか、ちょっとした会話をするとお互いにホッとする。

やはり妻と一緒に来て正解だった。

そうこうしていると、売主の方が階段を登ってきた。

半袖半ズボンのラフな格好の30代半ば位の日焼けしたガッチリした体つきの男性だった。

「どうもはじめまして。今日は宜しくお願いします。」

お互いに挨拶をして、席についた。

そして、営業マンともう1人の男性が座り、いよいよ準備が整った。

「本日担当させていただく〇〇です」

もう1人の男性はそう言って宅地建物取引士の宅建士証を提示した。

その時は、まあそんな感じなのかと思っていたが、今思うと当たり前の光景だ。

なぜなら、業法のなかで重要事項説明は宅建士が宅建士証を提示するルールになっているからだ。

そこからは、売主と僕とで重要事項説明書を見ながら説明を聞き、少し質問などもしながら進んでいった。

そして、設備については売主さんもいろいろと説明してくれた。

「リビングの換気扇と隣の部屋の換気扇は両方使わないと意味ないんです。片方が吸気で片方が排気ようになってるんですよ。」

とか

「床下換気もついているので、良ければ使ってください」

とか。結構気さくな売主だ。

なんだか僕とは違って体育会系な感じだ。

「いや、私はあの近くの小学校のサッカーチームのコーチをしてるんですよー」

聞くと、売主の子供がサッカーをしているらしい。

「設備機器の販売をしていて、いろいろ自分で設備を付けたんですよね」

なるほど、だから給湯器も2台あったり、ウォシュレットも少し高級なタイプのものがついていたのかと僕は思った。

築古の戸建ては、前にどんな人が住んでいたのかわからないことが多いので、なんだか怖くなる。

でも、僕の場合は初めての購入で売主さんと会話できて、家族構成もわかったので、大切に住んでいたんだなって実感することができた。

その時、僕は

「そういえば、階段の脇の壁が漆喰になっていて、家族みんなの手形がついてたな」

と思い出した。

確かに家は古かったけど、そこには家族の思い出が刻まれていた。

「良い家を買った。」

まだリフォームも何もしてないけど、売主の話を聞いていたら、そう思えた。

重要事項説明のあとは、契約書締結と、代金の受け渡しをして、無事に鍵を受け取った。

今回は現金購入だったため、380万円を用意してその場で支払った。

「いい買い物をされたと思いますよ。いい設備入れてますから!」

そう言って、売主は帰っていった。

僕は、担当してくれた営業マンに

「これから妻と一緒に物件を見て帰ります。」

と伝えると、案内してくれるという。

なんて親切な営業マンなのだろうと思いながら、不動産会社の営業車のセレナの跡を追った。

現地まで車で10分。

物件の前に2台の車が停まった。

いよいよ、あの家と再会する。

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