「お待たせ、だいぶ待った?」
僕は、一緒にバーミヤンで飲む約束をしていた同僚に電話をした。
本当は、もっと早く会社を出る予定だったのだが、スマホを初期化しないといけなかったり、ロッカーの荷物を紙袋に入れたりなどなど、思いのほか時間がかかってしまった。
結局、会社のビルを出られたのは、予定よりも30分も遅くなった。
同僚は、会社のすぐ近くで待っていてくれた。
僕は、少し小走り気味にバーミヤンの方向へ向かった。
「お待たせ!ほんと申し訳ない。」
僕はすぐに同僚を見つけて謝った。
「思ったよりも早かったですね」
と同僚が言ってくれた。申し訳なかった。
そして、2人ですぐ近くのバーミヤンに向かった。
品川のバーミヤンは、知る人ぞ知る場所にある隠れ家的なバーミヤンだ。
看板も殆ど出てなくて、ビルの奥の方にひっそりとある。
僕と同僚は、4人がけのテーブル席に座った。
時刻は17時少し前。
まだ空は明るかったが、僕にとってはもう最後ということで、早速飲み会スタートだ。
とは言っても、飲み放題があるわけでもなく、ビールとつまみを軽く頼む程度。
2週間ほど前に、この最終日にさそってくれた同僚には感謝だ。
実は、この同僚とは9か月前から急に一緒に仕事をすることになり、戦友のような仲だ。
僕はその同僚と、この9ヶ月間のことについて語った。
同僚もいろいろと、その時その時で悩みがあったようで、素直に吐き出した。
そして、約2時間程度で、僕たちはお店を出て、品川駅へ向かった。
改札に入り、
「じゃあ、元気でね!何かあったら個人携帯に連絡して」
そう言って別れた。
その時は、いつも通りの感覚ではあったのだが、よく考えたら、もうしばらく会えないかもしれない。
僕は、自宅に向かう電車の中で、本当にこれで実質的には最後なんだなと実感が湧いてきた。
僕が退職することが社内に公表されたのが2週間前。
今日までの平日10日間は、引き継ぎに全力投球していて、自分が退職するという実感があまりなかった。
しかし、すべてが終わった今、改めて本当に辞めるんだっていう実感が湧いてきた。
新たな会社での希望とともに。

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