翌週、僕はまた大網白里市にある物件に、モルモルという漆喰を持っていった。
モルモルは、素人でも簡単に漆喰を塗ることができるもので、コテなども必要なくて、ゴム手袋で伸ばしていくタイプのものだ。
色は白しか選択肢はないのだが、安く土壁や今回のような聚楽壁に塗ることができる。
今回の物件は、予算内におさまるように、2階の洋室化された部屋(もともと和室)と階段の壁は自分でDIYをすることに決めていた。
モルモルは、アマゾンで購入して、すぐに自宅に届いた。
到着したモルモルは、蓋付きのバケツのような形状で、1つの重さが14kgもあった。
それを2つ買って、2,3万円くらいだっただろうか。
このモルモルを塗るために、ホームセンターでマスカーというものも買っていった。
マスカーは、プロも使っている養生テープで、テープとビニールシートが一体化されていて、モルモルを塗りたくない部分にマスカーを貼る。
貼り終えたら、一体化した薄いビニールシート部分を広げると簡単に養生ができるすぐれものだ。
プロもよく使っているアイテムなので、職人気分だった。
早速物件に到着して、床にレジャーシートを敷き、マスカーで養生を始めた。
「まずは、この部屋の1面だけやってみるか」
僕は2階の洋室化された部屋の三尺の幅の壁の柱にマスカーを貼っていった。
会社への通勤途中で、YouTubeでモルモルの塗り方を何回もみて勉強してきたので、コツは掴んでいるつもりだ。
「まずは土壁から1ミリくらいあけてマスカーを貼るんだよな」
と言って、50センチずつマスカーを広げて柱に貼っていった。
そして、5分〜10分くらいで、マスカーを貼り終えて、薄いビニールシートも広げた。
「それじゃあ、早速モルモルを塗っていくか」
YouTubeでモルモルの塗り方を見ていると、塗っているところがメインの動画が多かったので、この養生するという段取りがこんなにめんどくさいとは思わなかった。
あるYouTuberは、モルモルではないが、塗装をするときに養生をせずにフリーハンドで塗っている人がいたのだが、その気持ちが分かった気がした。
動画で見ているときは、自分が作業をしていないので、綺麗に塗れるのなら養生くらいちゃんとすればいいのにと思っていた。
しかし、実際にやってみると面倒くさいのだ。
それでも、今回は初めてのモルモル塗りなので、できる限り綺麗に仕上げたい気持ちが強かった。
僕は、バケツ型の容器に入ったモルモルの蓋をあけた。
モルモルの蓋は乾燥しないように、タッパーのような形状をしていて、密閉できるようになっていた。
蓋の裏側には1組のゴム手袋が入っていた。
僕は付属の薄いゴム手袋をはめ、容器の中のモルモルをすくい取った。
「ヨーグルトみたいだな」
モルモルは色が白くて、ねっとりとした感触もヨーグルトによく似ていた。
僕は、モルモルを少し手にとって、壁の一番上の角のところに塗ってみた。
「おお!真っ白!」
ほんの少しの面積だったが、長年の蓄積で汚れていた土壁が白くきれいになった。
これは面白い。
僕は夢中になり、最初にマスカーで養生した壁一面を塗り終えた。
見違えるようにきれいになっていた。
「早くこの部屋の壁全体をモルモルで真っ白くしたい」
そんな気持ちになった。
その時、僕のスマホが鳴った。
表示を見ると、実家の妹だった。
「今からそっちに行ってもいいか?」
という電話だった。もちろん、僕も断る理由もない。
実家からだと1時間くらいかかる。
僕は、その間も黙々とモルモルを塗っていった。
そして約1時間後、玄関のチャイムが鳴った。


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