「今日は一人飲み会をしよう」
僕は、物件の近くにある地元の会社が経営しているスーパーのお酒売り場にいた。
いつも行くスーパーとは全然違う場所の地元スーパーというのは、なかなか面白い。
僕は普段は350mlの金麦を飲んでいるのだが、この日はお祝いだ!
特別に500mlの金麦をカゴに入れた。
それと、お弁当とつまみを買った。
スーパーから出ると、すでに完全に日が暮れて、真っ暗になっていた。
物件に戻り、一人飲み会を始めた。
しかし、テレビもラジオもない。
「よし、YouTubeでもみながら飲むか」
僕は、スマホを出してYouTubeのDIY動画を見始めた。
自分でも、完全に戸建ての再生が好きなんだなと思った。
夜21時をまわり、YouTubeも飽きてきた。
「少し近所の様子をみてくるか」
と思い立ち、僕は靴を履いて外に出た。
田舎とはいえ、住宅街なので街灯が道路を照らしていた。
僕は家のまわりの1ブロックをゆっくりと歩いた。
大きな声も聞こえない、ペットの鳴き声もしない、閑静な住宅地だった。
ただ、家から30メートルくらいのところの家は明かりがついていなかった。
「ここは空き家なのだろうか」
どう見ても人の気配は無かった。
しかし、その家の向かい側では、新しい家の建築工事をしていた。
「空き家があるということは、入居付けも苦戦するのだろうか」
少しだけ不安になった。
夜の近所の様子に、特に気になる点はなかった。
これは安心材料だった。
ただ、教科書通りにするならば、物件の購入前に、朝、昼、晩と、雨の日にチェックすべきだった。
とはいえ、結果オーライということにして、家に戻った。
僕は家の玄関脇にある比較的きれいな部屋を寝床にした。
トイレも目の前の部屋だ。
ただ、他の部屋に行く勇気はなかった。
昼間は明るいので気にならないのだが、夜の空き家は怖い。
僕は、霊感も何もないのだが、体が大きいくせに臆病だ。
だから、なにかあったらすぐ逃げられる玄関近くに、薄いマットを敷いて寝た。
しかし、やはりなかなか寝付けない。
「そうだ、イヤホンをして小さい音で音楽を流そう」
しばらくすると、いつの間に寝ていた。
あまり静かすぎると逆に眠れないことってないだろうか。
僕の場合はまさにその状態だった。
それから何時間寝ただろうか。
まわりは明るくなってきていた。
日曜日の朝。
普通のサラリーマンなら、寝坊してゆっくりとしているかもしれない。
しかし、僕は違った。
とにかくこの家を1日でも早くきれいにしたい。
その気持ちが大きかったので、朝早く目が覚めたのだ。
スマホを見ると、朝5時半だった。
僕は着替えて、徒歩でコンビニへ向かった。

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