第5章「インフレ時代の資産運用術 応用編」と聞くと、とてもワクワクしてくる。
どんな素晴らしい投資方法が書かれているのだろう。
きっとそうイメージする人は多いと思う。
しかし、残念なお知らせがある。
この章で書かれている内容は、ハイリスクな投資がどのような仕組みになっているのかを解説している。
実際に橘玲氏は、前の章の最後でこのように語っている。
「ハイリスクな投資をあえて体験する必要はありませんが、それがどのような仕組みになっているかを知っているだけで、怪しげな投資の勧誘を即座に見破ることができるなど、いろいろな場面できっと役に立つはずです。」
そして、5章では、信用取引、ブル/ベアETF、先物取引、FX、オプションなどの金融商品についての説明が続く。
僕のように、過去に痛い目にあった人からすると今さらな感じがする。
このあたりは、金融リテラシーがあるかないかで、参考になるかならないかが分かれるところだろう。
ただ、すでに投資経験があり、金融商品の仕組みを知っている人にとっては、やや退屈に感じる内容かもしれない。
投資初心者はぜひ一読しておいたほうがいいだろう。
正直、読み飛ばしたくなるところだったが、コラムのコーナーだけは読んでおきたい。
特に僕が面白いと思ったのは「マイホームの購入は不動産の信用取引」というコラムだ。
僕は自宅を購入してしまった派だが、まだ購入していない、購入しようか迷っているという人にとっても身近で興味深い内容だ。
マイホームの購入を金融商品として考えるところが、橘玲氏らしい切り口だ。
僕は、マイホームを20年前に購入してローンを払い続けている。
そして、不動産賃貸業もしているし、不動産実務検定のマスター資格を取得中だ。
不動産の話題には興味がある。
詳細については本書で確認してほしいのだが、ファイナンス理論としてはマイホームの購入は一極集中にあたる投資手法となる。
しかも、借金をして購入しているわけなので、レバレッジがかかっている状態ということになる。
純粋に投資効率と分散性だけを比較すれば、株式や投資信託のほうが合理的なのは明らかだ。
ただ、僕はマイホームについてはファイナンス理論だけで説明がつかないと思っている。
なぜなら、マイホームは消費財だし、さまざまな感情的な判断理由も絡むからだ。
橘玲氏もこの点については、100%ファイナンス理論だけで結論付けてないし、あくまで株式や投資信託と比較してみる視点が重要だと語っている。
マイホームの購入は、ファイナンス理論と感情がぶつかり合うからこそ、永遠の議論のテーマになり、テレビなどのマスコミでも、しばしば話題にされるテーマだ。
僕の知り合いでマンションを10年以上前に購入した人がいる。
その人は、おそらく10年くらいそのマンションに住んでいたようだが、マンションが値上がりして売却した。
そして、今度は郊外の小さめのマンションに引っ越しをした。
車も売却してしまったという。
経済合理性のある選択だったのだろう。
しかし、それが家族にとって最も幸せな選択だったのかは、外からは分からない。
また、ある友人はファイナンス理論を気にしてはいなかったかもしれないが、ずっと賃貸マンションに住んでいる。
しかし本人としては、購入したかったけど、だんだんマンションが高くなってしまって買えなくなってしまったという。
少なくとも、住まいの選択をお金だけで判断することの難しさを感じる。
では、僕はどうなのかと言うと、20年前に新築の戸建てを購入した。
デフレの影響で、おそらく一時期は土地の価格が下がっていたと思うが、住んでいる分には関係ない。
もし値上がりしていたとしても、わざわざ売却して引っ越さないだろう。
マイホームは金融商品として見れば、借金を使った集中投資である。だが、住まいには金融理論では測れない居住価値や家族の思い出がある。だから感情だけでも、数字だけでも決めてはいけない。
ただ、橘玲氏が言いたかったことは、感情だけで買うのではなく、レバレッジのかかった金融商品という角度からも判断したほうがいいということなのだろう。
僕もそう思う。
永遠のテーマである賃貸か持ち家か問題、あなたならどう判断するだろうか?

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