「法人を作れば節税できる」
あなたは、そう思ってないだろうか?
実はこれ、日本の不動産賃貸業では半分正解で半分間違いだ。
なぜなら、日本とアメリカでは税制も不動産投資の前提も大きく違うからだ。
金持ち父さん貧乏父さんの中では、会社を作って税金を節約するという内容が書かれている。
この内容を信じて、日本で法人をつくって不動産賃貸業をされている方は多いと思う。
しかし、この金持ち父さん貧乏父さんは、日本ではなくアメリカのルールを前提とした話だ。
日本もアメリカも、個人事業主や法人といった制度があるのはどちらも同じだ。
しかし、日本では法人を設立するのも、維持するのもアメリカの法人と比べるとかなりのコストがかかる。
少し乱暴な言い方をすれば、アメリカでは気軽に法人を作れるくらいのコストで済む。
不動産賃貸業で法人を作れば、経費として使える幅が増えるとか、訴訟になったり倒産した際に自分(個人)を守れるといったメリットがあるのは確かだ。
それが、アメリカのように少額で法人を作って維持できればいいのだが、日本はそうはいかない。
つまり、このあたりの金持ち父さん貧乏父さんの話を鵜呑みにすると、日本ではうまくいかないのが薄々分かってくるだろう。
僕は、決して日本でも法人設立をして節税することを批判しているわけではない。
ただ、不動産賃貸業の手法によっては、個人事業主でも十分に節税できるし、むしろサラリーマンの場合は個人事業主のほうが節税メリットが大きいとすら思っているくらいだ。
不動産賃貸業をするまでは、税金の話なんて全く知らなかった。
ただ、僕は何年もやっているうちに、この個人事業主の場合と法人を設立した場合の税金の仕組みが手に取るように分かってきた。
金持ち父さん貧乏父さんが言っている法人を設立して節税するというやり方を日本でもメリットを出せるとしたら、2018年以前(かぼちゃの馬車事件よりも前)に、大きな借金をしてマンション1棟を購入したサラリーマンくらいだ。
なぜなら、レバレッジを効かせているので、入ってくる家賃収入がとても大きく、節税効果よりも法人を設立して運営するコストのほうが安いからだ。
実際に、僕の以前勤めていた会社の後輩が1億円のマンションを丸ごと1棟購入していたが、彼は株式会社を設立していた。
しかし、かぼちゃの馬車事件以降は、銀行もサラリーマンの不動産賃貸業への融資が慎重になり、今ではすっかりその手法も利用できなくなってしまった。
まあ、健全な経営が求められるようになったということだ。
そうなると、戸建てやアパート投資になってくるのだが、このレベルだと正直、あまり法人を作るメリットを僕は感じていない。
よく誤解されるのが「物件を購入すると建物の部分を減価償却できて節税できる!」っていうことだ。
この話をされる人がよくいる。
しかし、この減価償却という仕組みをきちんと理解するとわかるのだが、節税というよりも税金の支払いを後回しにしているにすぎない。
このあたりは、詳しく説明すると長くなってしまうのだが、要は法人をつくろうが個人事業主だろうが、それほど節税範囲というのは結局変わらない。
僕がサラリーマンのうちは個人事業主のほうがいいと思うのは、減価償却分をサラリーマンの給与と損益通算できるからだ。
つまり、法人を設立して減価償却しても、そもそもの法人の収入が少なっければ意味がないが、サラリーマンの収入がベースにあったときは、多少なりともその時点での節税効果は高い。
いま、僕は「その時点での」と書いた。
つまり、結局はこの減価償却分は、売却するときにきっちりと取られる。
でも、不動産賃貸業はスピードが重要だ。
その減価償却を上手に活用して、今の時点のキャッシュを増やして再投資することができる。
そこにサラリーマンの収入に減価償却をぶつけることでのメリットがでてくるのだ。
不動産賃貸業で大事なのは、
「税金を減らすこと」ではなく
「手元にキャッシュを残すこと」だと僕は思っている。
法人か個人かを考えるときも、
見るべきは節税ではなくキャッシュフローだ。
流行りのノウハウに振り回されるのではなく、
自分の状況に合ったやり方を選ぶことが一番大切なのだ。


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