僕が区分ワンルームを“最初に買わない”と決めるまでの軌跡【第3話】 「お金がない」20代サラリーマンが銀行へ向かった日

不動産賃貸業戦略

「じゃあ、もう1つの物件を見に行こう。」

僕は、今回内見をしたマンション以外にも、もう1つ気になっていた物件があった。

しかし、その物件は他の不動産会社が取り扱っていたもので、資料だけしか取り寄せていなかった。

タイミングの問題で、内見はできないと言われていた物件だったのだ。

場所は、JR東十条駅から徒歩15分ほどのところだったと記憶している。

妻と僕は、京急で品川まで戻り、そこからJRで移動した。

そして、東十条駅へ到着。

正直、まったく土地勘のない、馴染みのない駅だった。

そこから商店街を抜けて大通りを進み、大通りから20mほど右に入った左手にある小さめの白いタイル貼りのマンションだった。

最初見た印象は、日当たりが悪そうだなという感じだった。

白いタイルも薄汚れていて、少し古さがあった。

ただ、値段は600万円ということで、1軒目よりも安く感じた。

もう一度マイソクを見ると、専有面積は20平米にも満たない。18平米くらいだった気がする。

なかなかの狭さだ。

新潟出身の僕からすると、これが東京の家なのかと自分で納得させた。

僕と妻はしばらくそのマンションを眺めていたが、どうにも判断ができなかった。

物件を選定する明確な判断基準がなかったからだ。

ただ単に、1軒目と2軒目を見てどっちがいいのだろうと考えるだけだった。

すでにあたりは夕方になり、日が傾いてきていた。

「じゃあ、帰ろうか」

お腹の大きな妻と2人で、十条駅のほうへ向かった。

そこから、池袋方面に行って夕食を食べて帰ったのだと思うが、あまり記憶がない。

おそらく、物件のことで頭がいっぱいだったせいだろう。

はじめて物件を見に行ってみて、こんなにモヤモヤするものなのかと正直思った。

ただ、なんとなく1軒目のマンションのほうは、実際の生活感まで確かめられたせいか、そちらの物件を買えるなら買いたいと漠然と思った。

しかし、繰り返しになるのだが「お金がない」

さて、どうしたら購入することができるのか。

「そういえば、この間、東京三菱銀行が会社にローンの営業にきていたな」

当時、勤めていた会社の事務所と同じビルに東京三菱銀行が入っていて、今思うと「フリーローン」と思われるローンの紹介にきたことがあったのだ。

まだ携帯電話も折りたたみが主流だった時代。

いま思うと、メガバンクがフリーローンの営業によく来ていたなと思うのだが、記憶は間違いない。

それを思い出して、銀行に相談してみようと思ったのだ。

本当にいきあたりばったりだった。

僕は、翌週の土曜日に、妻と一緒に東京三菱銀行ではなく千葉銀行のローン相談窓口に行ってみた。

なぜ千葉銀行だったのかは覚えていないが、さすがにメガバンクにいきなり行く勇気はなかったのかもしれない。

しかし、自宅すら買ったことがない自分が、ローン相談窓口に座るのはかなり緊張した。

受付番号の書かれた小さな紙を握りしめ、自分の番号が呼ばれるのをじっと待った。

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