僕が区分ワンルームを“最初に買わない”と決めるまでの軌跡【第2話】

不動産賃貸業戦略

「ホームページで掲載されていた物件を見たいのですが」

僕はネットで見つけた2つの物件の内見依頼を、その不動産会社の営業マンに伝えた。

すぐに、内見の調整をしてくれるという。

しかも、本命の物件は、入居されている人がいるので、スケジュールの調整に少し時間がかかるという。

数日後、不動産会社の営業マンから連絡が入った。

「大丈夫です!今週末の土曜日なら中を見せてくれるそうです。」

いよいよ人生で初めての購入物件の内見が決まった!

ただ、どうせ行くなら妻も一緒に行ってほしい。

「投資用マンションの内見に行くんだけど、一緒に行かないか」

僕はお腹の大きな妻に聞いてみた。

妻はあまり乗り気な感じではなかったが、一緒に行ってもいいよくらいの温度感だった気がする。

そして、いよいよ内見の土曜日になった。

自宅の賃貸マンションを出発して、電車に乗って大森海岸駅に行った。

正直、一度も降りたことのない駅だった。

資料によると、モノレールの駅からも行けるようだが、どちらにしても駅からは徒歩で15分くらいはかかるような立地だ。

当時はスマホもないので、事前に不動産会社からメールでもらっていた地図を見ながら、お腹の大きな妻と2人で歩いて現地に向かった。

今まで僕はずっと「大森海岸駅」だったと記憶していたが、今調べてみるとおそらくその手前の「立会川駅」から歩いて15分くらいのところだったかもしれない。

おそらく15号(第一京浜)をわたった記憶があるから、てっきり海側に向かった気がしていたが、実は内陸側に歩いていたことになる。

しかも、現在の地図を見るとその記憶がぴったり当てはまる。

記憶というものは曖昧なものだ。

細い道路を妻と2人で歩きながら、ようやく物件に到着すると、不動産会社の営業マンが待っていてくれた。

「どうも、よろしくお願いします。こちらの物件ですね。」

僕はそのマンションを見上げながら言った。

築20年くらいの白っぽいタイル張りの物件で、5階建てくらいのマンションだった。

不動産会社の営業マンの案内で、中に入っていった。

かなり奥行きのあるマンションだ。

薄暗い廊下を歩いていくと、5人乗り程度の小さなエレベーターがあった。

すぐに扉が開き、3人で乗り込んだ。

エレベーターは5階に到着するとガタンっと音を立てて少し揺れた。

昔ながらのエレベーターだった。

そして、奥の方に進んだところで営業マンがチャイムを鳴らした。

中から、若い大学生のような女性が出てきた。

「はい。どうぞ、中をご覧ください」

にっこり笑って、笑顔で迎えてくれた。

今日は学校がお休みなのだろう。

土曜日の午前中ということもあり、洗濯機が動いていた。

部屋は6帖のフローリング。収納がなく、本来収納のはずの3尺幅のクローゼットの中に洗濯機が置かれていた。

ただ、ここのいいところは、眺望と広いベランダだった。

ひな壇のようになっているマンションで、下のフロアの屋根の上が、自分のベランダスペースになっているので、ベランダがとても広いのだ。

「ここは明るくて開放感があっていいね」

僕は言った。

入居者の女性も

「ベランダが広いのがお気に入りなんです」

そう答えた。

僕の頭の中は、すでに購入する前提の頭になっていた。

あまり長居もできないので、入居者の女性にお礼を言って、またエレベーターで1階に降りた。

「いいですね。価格は650万円でしたっけ。少し値引きの余地はありそうですか。」

と聞くと

「正直、この物件のオーナーはギリギリの価格で出されているので、これ以上は厳しいかと・・・」

なるほど。

やはり投資用マンションは、売主が投資家なので、価格はかなりシビアだとは思っていた。

貯金がほとんどなかった僕は、わかりましたと伝えて、不動産会社の営業マンと別れた。

駅までの間に妻と会話をした。

「どうだった?」

と僕が聞くと

「まあ、いいと思うけど買えないでしょ(笑)」

そのとおりだった。

ただ、僕としても何とか購入はしたい。

銀行に言えば貸してくれたりするのだろうか。

当時の僕には、そういった融資についての知識がまったくなかった。

それなのに購入を検討するなんて、、、バカげていた。

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