「ものすごく立派なオフィスだな」
僕は、前回は喫茶店で3社のワンルームマンションの営業マンと会ったのだが、今回はワンルーム不動産販売業者のオフィスでのセミナーを受けに来ていた。
場所は渋谷。
自宅の千葉からは遠かったが、まあ取材なので仕方がない。
指定されたビルに到着すると、大きなガラス張りのエレベーターがあり、その会社のフロアに到着すると、壁が木目調でラグジュアリーな雰囲気だった。
なにか高級ホテルのような、そんな佇まいのオフィスなのだ。
受付を済ませて中にはいると、10人程度が座れる程度の小さな会議室だった。
セミナーという話だったので、数十人が入れるようなイメージだったのだから拍子抜けしてしまった。
まあ、毎週のようにセミナーが設定されているのだから、毎回数十人も参加することはないのだろう。
僕が入ったときは先客は1人だけだったが、最終的には僕を入れて4人が参加した。
会議室の壁には50インチくらいのディスプレイが壁に設置してあり、スーツを着たオールバックの50代くらいの男性が、新築ワンルームの説明をした。
たぶん、端から見たら、いかにも怪しげなセミナーではあるが、参加している本人たちは至ってまじめだ。
そして、最後にアンケートを書くのだが、年収や家族構成など、こまかく書く欄が用意されていた。
正直、躊躇したが融資のこともあるからだと思い、ある程度の情報を開示した。
セミナーの内容自体は、一般的なワンルームマンションの営業トークを資料にしたような内容で、節税になるとか、資産になるとかそういった内容のもので、僕にとっては聞き飽きたようなものだった。
しかし、終了後に個別相談を設定しているという。
一応、取材なので参加することにした。他の3人もみんな個別相談を受けるようだ。
僕は2番目に呼ばれて、別室に案内をされた。
おそらく、会場に到着した順になっているのだろう。
「今現在は、まだ不動産を所有されてないと・・・」
先ほどセミナーで説明をされていたオールバックの男性ではない、他の担当が相手をしてくれた。
時間としては、ほんの10分か15分くらいだったが、属性の確認や今の状況や考え方などをヒアリングされた。
その時は、具体的な案件の紹介はなかったような気がするが、正直あまり覚えてない。
セミナーを受けた後も、特にしつこい勧誘などもなく、1回か2回くらい電話がきたくらいだった。
おそらく、当時の僕の属性では融資が厳しかったのかもしれない。
でも、取材としては成功だった。
なぜなら、僕の体験談を見た人は、しつこい勧誘がなかったかどうかなどを気にする人が多いと想像できるからだ。
ただし、僕としては信用ならないのは、この豪華なオフィス環境。
営業マンも高そうなスーツを着ていた。
いったい、これらのコストはどこから出ているのだろうか。もちろん、マンション売却の利益からに違いない。
そう思うと、僕ならこの業者からは買いたくない。
想像でしかないが、マンションの売却価格に利益がたっぷりと乗っているに違いないと思ったからだ。
ただ、ワンルームマンションを販売している会社のオフィスに実際に行ったのは、これが初めてだったので、とてもいい経験になった。
僕以外のセミナー参加者が3人いたが、彼らのうち何人かはワンルームマンションを購入したのか。気になるところではあった。
それにしても、オフィスの豪華さはすごかった。
セミナー参加者へのホスピタリティーもすごかった。
まるで、自分が成功者、あるいは特別な存在として扱ってくれて、一見すると心地よかった。
しかし、そんなことに慣れていない僕にとっては、違和感でしかなかった。
ここでいい気持ちになって、契約書に押印する人もきっといると思う。
本来、不動産賃貸業というのは、冷徹ではあるが数字で判断しなければいけないものだ。
それなのに、こういった雰囲気に流されてしまう仕掛けが多くあったのがとても印象的だ。
もちろん、この業者が悪い業者だとは断定できない。
忘れてはいけないのは、必ず数字で判断する。ここに尽きると思う。
この経験を通じて、ワンルームマンションの業者がどのような感じで営業をかけているのか、訪問営業とは別の、セミナーというもう1つのバリエーションを体験できたのは、とても勉強になった。


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