「なんだか当たり前すぎるけど、念のため読んでおくか」
この橘玲氏の「インフレ時代を生き抜く プアジャパン」の第3章の「金利と為替を理解する」は、基本的な経済理論を中心に書かれていた。
なので、僕のように、これまで経済や投資について多少なりとも学んできた人からすると、知っている内容も多かった。
たとえば、金利とは何か、インフレと通貨の関係などの基本定理が書かれている。
そんな中でも「バカは自分だった」という部分は、面白かった。
これは為替取引をしている人を単純化してストーリー仕立てで説明しているのだが、こういう心理ってあるよなって自分事のように感じられた。
ここでは詳細までは語れないが、自分ともう1人の取引を例にとりあげて、最終的に相手のほうがバカだと思っていたのに、実際には自分がバカだったという話。
ぜひ読んでみてほしい。
このように、基本的な内容が中心の第3章だったが、後半には僕の予想とは違う主張も出てきた。それが、「アベノミクスはなぜ失敗したのか?」というコラムだ。
この「アベノミクスはなぜ失敗したのか?」というコラムを読んで、僕は、橘玲氏がアベノミクスを「失敗」と認識していることを意外に思った。
僕は個人的にアベノミクスは必要な経済対策だったと思っている。
橘玲氏は、アベノミクスは二つの意味で間違っていたと書いているが、僕は「本当にそうなのか?」と思ってしまった。
僕はリフレ派を100%信用しているわけではないが、ある程度は正しかったのではないかと思っている一人だ。
橘玲氏は、「マネーを増やせば景気がよくなる」「マネーを減らせば景気が悪くなる」という因果関係ではなかったと語っているが、実際、大企業を中心に企業収益は好調で、株価も大きく上昇している。
こうした企業収益や株価の改善には、大規模な金融緩和によって市場に供給されたマネーも、少なからず影響していると僕は思っている。
しかし、経済というのはそんな単純なものではないのも事実だ。
ただ、僕は、橘玲氏はリフレ派寄りの意見を持つ人だと思っていたが、そうではなさそうだ。
こういう僕との考え方の違いに気づくのも、この書籍の楽しみの一つなのかもしれない。
また橘玲氏は、MMT(現代貨幣理論)については、ある程度肯定的なようだが、「強い日本」を目指す過程で円安が進んだことは、ある程度仕方がなかったと思う。
なぜなら、アベノミクスでは、デフレからの脱却が最優先の課題だったからだ。
大規模な金融緩和は、円高の修正や株価上昇、雇用環境の改善を後押しし、デフレ脱却に向かうきっかけの一つになったと思う。
僕も、アベノミクスがすべて成功だったとは思っていない。ただ、長く続いた円高とデフレを放置するより、大胆な金融緩和によって状況を動かそうとしたこと自体は必要だったと思っている。
しかし、株を持っていない人からすると、好景気の実感はないかもしれない。
好景気の実感が広がらないのは、好調な企業収益が、従業員の賃金に十分還元されていないことが理由だと思う。ただ、それはアベノミクスそのものが悪かったというより、企業から従業員への利益の分配が十分ではなかったからではないだろうか。
逆に、ニュースで大手企業の賃上げ率が5%を超えたと聞いても、僕は「それでも5%なのか」と思ってしまう。ここ数年の物価上昇や、長年ほとんど賃金が上がらなかったことを考えれば、一度の5%の賃上げだけで十分とは思えないからだ。
そんなことを考えながら、この第3章「金利と為替を理解する」を読み終えた。
経済について、ある程度理解している人からすると物足りない内容かもしれないが、先ほどのポイントだけを読んでみるのも価値があると思う。
さて、次の章からは、いよいよ本題であるインフレ時代の資産運用術が書かれている。
この本では、初心者編と上級者編という二つの章でとなっているが、それについてはまた次回語っていきたいと思う。
実は僕はすでにその部分まで読み終えているのだが、第一印象は「まあ、結局そうだよね」だった。その理由については、次回以降に書いていきたい。


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