「ちょっとやってみるか?」
僕は娘に言った。
娘はまだ高校生だった。
翌週、僕は家族を半ば無理やり物件へ連れていき、2階のDIYを見せた。
すでに縦の柱については、僕がリメイクシートを貼っていたが、最後の天井の廻り縁のところだけはまだ残っていたのだ。
僕は、娘にリメイクシートを渡して、貼り方を教えた。
「やってみる!」
娘がリメイクシートを受け取って、教えたとおりに貼り始めた。
「いいぞ!筋がいい!」
娘は少しうれしそうな笑みを浮かべた。
そして、妻と息子も一緒に見ていた。
僕が貼るよりも娘のほうがスピードも早かったし、キレイだった。
あっという間に貼り終えて、娘が脚立からおりた。
僕は娘に
「どうだった?面白かった?」
娘は、すぐに答えた。
「面白かったけど、もういいや」
やはり、無理やりDIYをやらせたのがよくなかったのかもしれない。
息子にも
「やってみるか?」
といっても、やらないという。もちろん妻もだ。
僕はDIYが好きだけど、やはり人によっては好きではないのかもしれない。
とても残念だったが、こればかりは仕方がない。
その日は、リメイクシートを貼り終えたので、早々に引き上げることにした。
しかし、翌週からはいよいよ漆喰を塗る作業に入る。
僕は、この作業を楽しみにしていた。
YouTubeで先輩大家が「モルモル」という漆喰を塗っているのを見たことがあった。
汚れていた壁が、あっという間に明るくきれいになっていく。
「自分にもできるかもしれない」
そう思い、ずっと試してみたかったのだ。
このリメイクシートを貼った部屋と、階段の壁は、聚楽壁と言って、長年の経年劣化で汚れていた。
これが真っ白になったら・・・
僕の頭の中には、真っ白になった壁が浮かんでいた。
いよいよ来週、漆喰を塗るのが楽しみで仕方なかった。
帰りの車の中でも、僕の頭は翌週の漆喰塗りのことでいっぱいだった。


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