「こんにちは」
窓から部屋にいる僕を覗き込んでいたのは、両親と妹だったのだ。
3人は一緒に済んでいるのだが、僕が賃貸用の家を購入して、DIYをしているというのを聞いて見に来たらしい。
最初、誰かわからなかったので本当に焦った。
3人は家の中に入り、部屋やお風呂などを見て回っていた。
そして、見終わると1階の玄関脇の部屋に座って、持ってきたお菓子や飲み物を差し入れてくれた。
僕は、この家を購入した際に、売主からもらった資料を見せながら説明をした。
まあ、親としてはサラリーマンをしている息子がこんな大家業をやるなんて、思ってもみなかっただろう。
ただ、僕の両親も自宅を4軒、住み替えのために購入してきたこともあって、不動産はどちらかといえば好きな方だ。
僕が受け取っていた資料は、登記簿謄本や計画図、当時の土地の分譲時の資料などなど、多岐に渡っていた。
特に、登記簿謄本なんかは見ていて面白いものだ。
ただ、この家は何人もオーナーが変わっている物件ではないので、登記簿謄本もシンプルだ。
僕も自宅を購入したことがあったが、あまり登記簿謄本などを見る機会はなかった。
まず、登記簿謄本は土地と建物で分かれているということすら知らなかった。
そして、この物件は当時、ローンで購入されていることがわかった。
どこから借りたのかとか、借りた金額、利息など書かれていて面白かった。
僕が一番気になったのは利息だ。
この物件、昭和54年(1979年)に公庫から借りていて、利息は5.05%だった。
「当時はそんなに金利が高かったのか」
僕が言うと、親は
「昔なんて、そもそもそんな簡単に貸してくれなかった」
と言っていた。
親が初めて家を購入したのは、昭和40年代の初め〜中頃だと思う。
おそらく、その頃の話なのだろう。
時代が変わると、融資も変わるものなんだなと改めて考えさせられた。
それにしても、利息5%越えなんて、今なら信じられない。
ちなみに、僕が自宅をを購入したときは1%台だったと思う。
そして、借り換えて0.6%くらいになり、今は少し上がってきている。
それでも1%くらいだ。
僕が社会人になってから、日本はデフレになり、景気が悪くなり、金利はほぼ0に近い。
世の中的には、いわゆる「不景気」だったわけだが、住宅を購入するにはいい時代だったのかもしれない。
その代わり、株式投資などをする人にとっては、日経平均がだだ下がりだったので大変だった。
最近は、金利も上がってきていたり、企業業績は過去最高、日経平均株価は7万円に迫る勢いだ。
個人としては実感が薄い状態ではあるが、企業業績は間違いなくいい。
株価も上昇傾向、金利も上昇傾向。不動産価格も上昇している。
もし、僕がこの時代に30歳くらいで家の購入を考えていたらどう思うのだろう。
きっと、金利上昇が不安とか、昔の人は物件価格がやすくていいなって思うに違いない。
「結局、どの時代でもいいことも悪いこともあるね」
僕はそう口にした。
この1枚の登記簿謄本だけでを見ながら、そんなことを親と話した時間は有意義だった。
1時間ちょっとして、両親と妹は帰っていった。
また空き家に1人になった。
改めて1人になると寂しい気持ちになった。


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